第1話11/19<出発> → 第2話11/20<チュニス〜ケロアン> → 
第3話11/21<スベイトラ〜ガフサ> → 第4話11/21<ガフサ〜トゥズール> → 
第5話11/22<トゥズール〜ショット・エル・ジェリド〜ドゥーズ>  → 
第6話11/22<マトマタ> → 第7話11/23<エルジャム〜スース> → 
第8話11/24<カルタゴ〜チュニス> → 第9話11/25<シディ・ブ・サイド> → 
第10話11/26<チュニス〜フランクフルト〜関空>
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第1話<出発>

新婚旅行の話をしよう。そもそも、なぜ私達がチュニジアという、日本ではそれほど知名度の高くない国に出掛けることになったのか...それには重大な秘密が隠されているのである。
私達は似たもの同士で、わりとお互いの行きたい場所は、許容範囲なのだけれど、その時はどういうわけか、二人の第一希望はどちらも叶えられなかった。動物好き(?)の夫は「ケニア」と言い張り、快楽主義の私は「シチリア島」と言い張った。ケニアは予算オーバー&当時今よりも虚弱体質だった私がマラリアと黄熱病の薬の副作用に耐えられるか、が問題になって却下。シチリア島は完全な個人旅行となり、かなりイイ線まで企画は詰まったのだが、海外慣れしていない
二人、夫の冷静な判断に私が説得しきれなかった。シチリア島とケニアの間を取ってチュニジア。おかしな決断だと思われるかもしれない。「場所が間なだけや〜ん」とバカにされたことは何度もあるが、実はチュニジアはすごいのである。地中海もあれば、サハラ砂漠もあるのである。
とにかく、私達は、旅慣れないのにいきなり「世界中旅してきて、もうどこも行くところないよ」という強者集団の中で旅をすることになってしまった。チュニジアは日本ではマイナーで、地球の歩き方すら、その当時なかった。友人であり、仕事先のパートナーである「ヨピさん」が気を利かせて、とてもマイナーなチュニジアのガイドブックを買ってくれた。行くまでのチュニジアに対する情報はそこで仕入れた。言葉は、アラビア語のマグレブ地方言とフランス語が通じるらしい。私はフランス語がペラペラ(フィクション)なので、問題はなかった。
■イカしてます!ルフトハンザ航空
バタバタと忙しい合間を縫っての旅支度。特に私は、大人になってからの大きな海外旅行は初めてだったので、何を持っていったらいいのかすら知らない。
とにかく適当に用意して、飛行機に乗った。ドイツ経由だったのでルフトハンザ航空。関空から乗ったらいきなりドイツ人がわさわさして、みんな鷲鼻で、そこですでにカルチャーショックに陥る。ドイツ人は紺色が似合うので、乗務員さんはみな、りりしく見えた。飛行機が苦手な私は、案の定眠れない。仕方なく、窓から下界の景色を眺めていたが、ず〜〜〜っと荒涼とした大地と河ばかりが見えて、なんか不毛な気分になった。
あとで北ロシア上空を飛んでいたことを知る。途中スカンジナビア半島がくっきり見えたときはホッとした。火星ではなく地球の上を飛んでいたことを確認できたわけである。