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☆島旅2000秋(第2話=石垣「島のたべもの、アジな宿」=)
レンタカーを返し、そこの人に車で宿まで送ってもらう。今夜の宿は石垣市街地の中心地にある<楽天屋>という民宿である。内地から移住した音楽好きの主人の宿と聞いていたので、その方とのトークを期待していたが、帰り際まで会えなかった。宿は大きな看板に個性的な字で<楽天屋>と書かれてあり、看板の周囲には花々が咲きほこっていた(画像参照)。玄関にて大声で挨拶すると、奥さんが出てきて、宿のシステムを説明してくれた。洗濯機は自由に使ってよい、廊下にある飲み物はセルフで勝手にやってよい、門限はなく部屋ごとに鍵があるから適当に出掛けてもよい。なるほど、理想的な宿じゃないか!料金は前払いで支払う。ひとり素泊まりで3千円也。宿の佇まいは、いたるところにフライヤーやら、ポスターがベタベタ貼ってある。もともと、その奥さんの実家だったところを一部修復して民宿にしているという。2階が客室になっているのだが、中廊下式で、バス・トイレは共同、洗面所も共同の、共同アパートのようなつくりである。和室の6畳間に案内されて「1室だけ在る洋室でお願いしていたのですけど」というと「ごめんなさい。この間ベッドがひとつ壊れて・・・ここでいい?」と聞かれた。あまりに恐縮されて、ひとめでこの宿が気に入ったので、その部屋に決めた。
荷物を解くことなく、お腹が減っていたので食べるところを探しに出掛けた。街の中心地であり便利で、すぐに<南風>というよさそうな店をみつける。「島のたべもの」という言葉にそそられた。店は木を使った内装で明るくも、落ち着く感じ。お客さんは、常連らしき島の若者(といっても大阪にいるような金髪の子とか)がほとんどで賑わっていた。石垣市街はとても都会なのだ。島豆腐のガーリック揚げ、貝のバター炒め、ふーちゃんぷるぅ、ラフテ?と石垣島ビールなどを頼む。私は飲めないので「さんぴん茶」。お料理はどれもこれも期待以上においしかったが、とりわけ島豆腐のガーリック揚げと、ふーちゃんぷるぅは絶品であった。こんな理想的な味に出会ったことがない!すっかりこの店が気に入り、ユルユルモードに突入する。

□画像は民宿<楽天屋>の外観

まだ飲み足りない相方を、ガイドブックで目を付けていた「BLUE CAFE」という店に案内する。午後7時からと書いてあったので、開いているだろうと思って行ったら、「9時オープン」と扉に書いてあった。なるほど、これがやえやまんタイムというものかと思い、郷にいれば郷に従う主義の私は、時間つぶしにさんぽに出掛けた。さんぽの途中でみつけた本屋さんで、「うるま(沖縄の情報誌)」の完売になっているバックナンバーをみつけて購入する。一度本屋に入ると、時間を忘れてしまう私たちは、すっかり9時を過ぎてから「BLUE CAFE」に戻った。開いていた、そして既に賑わっていた。そのカフェも期待以上に素晴らしく、オーナーがすべて内装をしているということだったが、真っ白に塗った店内にファブリックがうまくからみ、どことなしに北アフリカのようであった。BGMはジャズシンガーが歌うボサノバに、波の音を重ねているという具合で、こっちにもすっかりノックアウトされてしまった。きっと石垣島の夜はこれから始まるのだろう。まだまだ序の口、宵の口である。しかし、翌日、朝イチ発の便で波照間に向かう私たちは早々に退散した。なにしろ、こっちに来てから、やたらと身体が自然に近くなるんだもの。昼時にはお腹が減り、夕食時には自然にまたお腹が減る。オヤツは欲しない、そして、夜になると自然に眠くなるのである。(つづく)

第3話=波照間「果てのうるま」