06:ねじの回転/恩田陸
恩田陸さんはフシギな作家である。物語もフシギだったりするが、作品の傾向が幅広く、ホラーめいていたりSFだったり、
ひたすら狭い空間での緊張感であったり、冒険物もラブストーリーもある。
一方、読む側の私も普段なら本格推理小説しか読みませんとか言っているくせに、恩田陸ブランドなら間違いないだろうと、
手当たり次第読んで、知らない世界に連れて行かれてしまうのである。
さて、この話。シュールなタイトルから「六番目の小夜子」みたいな感じかな、と漠然と思っていたが全然違っていた。
何度もドラマ化・映画化・小説化された2・26事件の4日間の歴史を、現代から干渉しようという話である。
うーん、宮部みゆき先生の「蒲生邸事件」みたいなモンだろうか?と読み始めたが、それもまた違うのである。
現在の時間域と過去の時間域、さらにそれをつつむ大きな時間という観念。ものすごく計算されたプロットで、とにかく頭の
整理をしながら読まないとついていけない。が、久々に恩田陸さんの作品で、どんぴしゃに好みの作品だったのでスムーズに
読めた。ラストにほのかな感動があるのがまたいい。

余談だが、恩田陸さんの本は半分くらい文庫化されていないものがあ
り、また文庫化に時間がかかるため、新書で手に入れることが多い。
が、新書版の価格は平均2000円弱。なかなか何冊もホイホイ買え
る値段ではないので、中古で購入したいのだけど、装丁もいいしコレ
クションしたいファンも多いらしく、なかなか出回らない。
オークションでも1000円を超えるのが普通。もし状態のいい本が
800円以下で売っていたら、絶対に買いデス。
かくいう私も、入手したら絶対に手放しません!笑。
ねじの回転
(集英社)

著者:恩田陸

ISBN:4087745856
サイズ:単行本 / 444p
発行年月: 2002年 12月
本体価格: 1,680円(税込)