04:火車/宮部みゆき
大好きな作家・宮部みゆきさん。宮部さんの作品で面白くないモノはない!と信じてしまってたりする。
私が読み始めたときには、宮部さんはすでに売れっ子だった。あまりの売れっ子ぶりに、土曜ワイド劇場とかでやっている
「○○サスペンス」のような軽く読める作品を書いている作家だと思っていて、読み始めるのが出遅れた。
軽く読める、というのはある意味ではその通りだった。それはテーマが軽いというのではなく、ストーリーをひっぱる力が
強くて、気がつくともう1ページ、あともう1章と頑張らなくても読めてしまうところである。
最初に何を読んだのか、覚えていないけれど多分、この「火車」であったと思う。
最近はファンタジーなども増えているけれど、初期の宮部さんの作品は、テーマが深刻であった。
とくにこの「火車」は読み進めるほどに、悲劇度が増していく。サラ金地獄というのは、何か見えない大切なものを奪って
いくということも知った。ただ、テーマが深刻なのに、読後、目の前が暗くなるという感想はない。宮部さんのお人柄なん
だろうが、苦しい中でも、それでもなんとか生きていくという強さをもっているからだろう。そして、周囲を固める人々の
当たり前だけどなかなかできないやさしさ、思いやり。それがホッとさせてくれるのだろう。
ただし、お気楽な大学生をしながら最初に読んだときの感想と、住宅ローンを抱える身になって再読した感想は、ビミョー
に違ったけれど。笑。
火車
(新潮文庫)

著者:宮部みゆき

ISBN:4101369186
サイズ:文庫 / 590p
発行年月: 1998年 01月
本体価格: 900円(税込)
ちなみに小麦的ベストof宮部みゆきは・・・(04/10/10現在)
理由(出版社:朝日新聞社)
<画像は、新書版>
ISBN:4022642955 サイズ:文庫 / 630p

ナンバー1を選ぶのは難しい。これを選んだのは、今一
番再読したい作品だから。とても心に残った一作だった
し、この時期、宮部さんは実は会社組織のように何人も
いるのでは?というくらい出す本出す本がハズレなし安
定した面白さだった。一家惨殺事件、しかもその家族は
他人の集まりだった・・・やっぱり再読したい!